※初めての方は、こちらの記事から読んでいただけますと、幸いです。
簿記2級では、当座預金の帳簿上と銀行口座残高のズレの原因6つを理解し、銀行勘定調整表を作成できるようになることを求めています。この記事では、当座預金の基本から、6つの原因、そして調整表の作成について解説します。(※使用教材の第3章「預金」を参考に作成しています。)
当座預金とは
#定義
企業などが取引先への支払いのため(小切手・手形を利用するため)の銀行預金口座
#基本的な特徴
・利息は付かない
・小切手・手形の利用が可能
・預金通帳がない(取引明細書やネット照会)
📌 ポイント:普通預金(利息有/小切手・手形利用不可/通帳有)とは全て逆になる
#小切手の仕訳とタイミング
・振出人(支払側)の仕訳:小切手発行時に「当座預金」を貸方で減らす
例:(借)備品 200,000 (貸)当座預金 200,000
・受取人(受取側)の仕訳:小切手受取時点で「現金」として借方で増やす
例:(借)現金 200,000 (貸)売上 200,000
📌 ポイント:実際に資金が動くのは数日後でも、帳簿上は小切手受渡時点で処理をする
#帳簿上残高(企業側)と銀行口座残高の不一致の原因と修正仕訳の要否
不一致の原因 | 内容 | 修正仕訳 |
---|---|---|
連絡未通知 | 銀行で実際に入出金があったが、企業に通知されておらず、仕訳が起票されていない。帳簿と口座残高に差が出ており、帳簿側で仕訳の追加が必要。(加減判別が必要) | 必要 (帳簿) |
仕訳誤記入 | 金額や勘定科目を誤って仕訳したことにより帳簿残高が誤っている状態。帳簿の修正が必要なため、正しい内容で仕訳を訂正する必要がある。(加減判別が必要) | 必要 (帳簿) |
未渡小切手 | 小切手を作成したが相手に渡しておらず、自社に保管されたまま。帳簿上は支払済となっているが、実際の引き落としは未実行。負債(買掛金や未未払金)を計上していない場合は,負債を計上しないといけないので注意が必要。(加算) | 必要 (帳簿) |
未取付小切手 | 小切手を振り出したが、相手がまだ銀行に呈示していない状態。帳簿では当座預金が減少済だが、実際の口座残高は減っていない。決済タイミングのズレによる差異。(減算) | 不要 (銀行) |
未取立小切手 | 小切手を受け取り銀行に取立依頼済だが、まだ入金されていない状態。帳簿上は入金済としているが、実際の当座預金残高には反映されていない。銀行間処理の遅延が原因。(加算) | 不要 (銀行) |
時間外預入 | 銀行営業時間外に夜間金庫へ現金・小切手を預けた。帳簿上は入金処理済だが、銀行側の実際の処理は翌営業日。そのため一時的に残高に差が生じる。(加算) | 不要 (銀行) |
銀行勘定調整表とは
#定義
帳簿上の当座預金残高と銀行口座残高(銀行残高証明書)を一致させるための分析表
#3つの調整法
①両者区分調整法
自社(企業)帳簿側 | 銀行口座残高側 |
---|---|
調整前残高:〇〇円 | 調整前残高:✖✖円 |
±連絡未通知 | -未取付小切手 |
±仕訳誤記入 | +未取立小切手 |
+未渡小切手 | +時間外預入 |
調整後残高:●●円 | 調整後残高:●●円 |
・修正仕訳必要項目(連絡未通知、仕訳誤記入、未渡小切手)は「企業帳簿側(左側)」に記載
・修正仕訳不要項目(未取付小切手、未取立小切手、時間外預入)は、「銀行口座残高側(右側)」に記載
・修正後、調整後残高が、左右で等しくなれば良い
・両者区分調整法が、基本的な方法になるので、この方法を覚える
②企業残高基準法
自社(企業)帳簿側 |
---|
調整前残高: 〇〇円 |
±連絡未通知 |
±仕訳誤記入 |
+未渡小切手 |
+未取付小切手 |
-未取立小切手 |
-時間外預入 |
銀行口座残高側(調整前):✖✖円 |
・自社(企業)帳簿側からスタートして、銀行口座残高側に合わせる
・修正仕訳不要項目を、自社(企業)帳簿側に記載する場合は、両者区分調整法の時とプラスマイナスが逆になるので注意
・表は見やすくするために、この順番で記載していますが、プラス→マイナスの順で記載するのが一般的です
③銀行残高基準法
銀行口座残高側 |
---|
調整前残高: ✖✖円 |
-未取付小切手 |
+未取立小切手 |
+時間外預入 |
±連絡未通知 |
±仕訳誤記入 |
-未渡小切手 |
自社(企業)帳簿側(調整前):〇〇円 |
・銀行口座残高側からスタートして、自社(企業)帳簿側に合わせる
・修正仕訳必要項目を、銀行口座残高側に記載する場合は、両者区分調整法の時とプラスマイナスが逆になるので注意
・表は見やすくするために、この順番で記載していますが、プラス→マイナスの順で記載するのが一般的です
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