はじめに
この記事では、以下の4つの項目を復習・整理することを目標にしています。
①純資産(株主資本)の基本知識
②繰越利益剰余金について
③剰余金の配当と処分方法
④株主資本の計数変動について
それでは、よろしくお願いします。(※使用教材の第15章「剰余金の配当と処分」を参考に作成しています。)
純資産
#純資産(株主資本)とは
「出資(元手)」と「利益(儲け)」の累積のことで、貸借対照表上に純資産として表示されます。純資産は、大きく3つ(「株主資本」・「評価・換算差額等」・「新株予約券」)に分類されます。
#株主資本の項目
簿記2級で抑えておくべき純資産(株主資本)の項目は、出資部分は「資本金」「資本準備金」「その他資本剰余金」の3つ、利益部分は「繰越利益剰余金」「利益準備金」「任意積立金」の3つ、計6個です。
純資産の部は、会社法の規定に従って仕訳します。
繰越利益剰余金
#繰越利益剰余金とは
P/Lで算出された当期利益の累積額です。具体的には、P/Lで算出された「損益」は、B/Sの「繰越利益剰余金」に振り替えられ、これまでの繰越利益剰余金の累計金額を増減させます。
繰越利益剰余金はただの表示科目であり、繰越利益剰余金と同じ金額の現金を所有しているということではないので注意してください。(配当金を分配するときに、その分の現金がなければ、現金を工面しなければいけません。)
剰余金の配当と処分
#剰余金とは
「繰越利益剰余金」と「その他資本剰余金」の2つを指します。
#剰余金の配当
(B/S上)剰余金を減らして、実際にお金の流出を伴う場合のことをいいます。
#配当する場合の会社法の規定2つ
①剰余金から配当金を出す場合は、配当金の1/10を準備金として積め立てなければいけない。
②準備金の合計金額が資本金の1/4に達するまで、準備金は積め立てなければいけない。
配当元 | 積立先 |
繰越利益剰余金 | 利益準備金 |
その他資本剰余金 | 資本準備金 |
#剰余金の処分
(B/S上)剰余金を減らすが、実際にお金の流出が伴わない場合のことをいいます。(剰余金を他の純資産(株主資本)の項目に変更するだけです。純資産自体の総量に変わりはありません。)
処分元 | 変更先 |
繰越利益剰余金 | 利益準備金、任意積立金 |
その他資本剰余金 | 資本準備金、資本金 |
#仕訳の具体例
A株式会社(資本金5,000,000円、資本準備金1,150,000円、利益準備金 80,000円)の株主総会で、繰越利益剰余金 2,00 0,000円について、配当・処分が次のように決定された:
・配当金 500,000円
・利益準備金 ?円
・別途積立金 50,000円
(残りは次回の株主総会まで繰り越すこととした。なお準備金の計上に関しては会社法上最低限の金額とする。)
その後、配当金は小切手で支払い、20%の源泉を行った。
借方 | 貸方 |
570,000円 | 繰越利益剰余金未払配当金 500,000円 |
利益準備金 20,000円 | |
別途積立金 50,000円 |
①繰越利益剰余金から配当金500,000円を出す場合は、その1/10である50,000円を利益準備金として積み立てなけらばならない。
②準備金として残り積立可能額は、20,000円である。
・資本金の1/4まで準備金を積み立てなければならない。(5,000,000×1/4=1,250,000円まで)
・現在の準備金の合計額は、1,150,000+80,000=1,230,000円
⇒よって、1,250,000-1,230,000=20,000円
①と②より、より少額である20,000円を利益準備金として積み立てる。
借方 | 貸方 |
未払配当金 500,000円 | 当座預金 400,000円 |
預り金 100,000円 |
株主資本の計数変動
#株主資本の計数変動とは
B/S上の純資産の構成要素の金額が変わること(B/S上の名称変更)全般を指します。
#仕訳の具体例
①繰越利益剰余金1,000,000円を資本金に組み入れる場合
借方 | 貸方 |
1,000,000円 | 繰越利益剰余金資本金 1,000,000円 |
②株主総会の決議により、赤字補てんのために利益準備金200,000円と別途積立金500,000円を取り崩した場合
借方 | 貸方 |
200,000円 | 利益準備金700,000円 | 繰越利益剰余金
別途積立金 500,000円 |
「ふくしままさゆき」さんのYouTube解説動画は こちらからどうぞ「剰余金の配当と処分」
※初めての方は、こちらの記事から読んでいただけますと幸いです。
