仕訳No.04 「商品」

No.4返品・割引・割戻_商品評価損・棚卸減耗損 2級商業簿記

※初めての方は、こちらの記事から読んでいただけますと、幸いです。

この記事は、以下の4つの項目を復習・整理することが目標です。(※使用教材の第4章「商品」を参考に作成しています。)

①仕入側と販売側における、商品の返品・割引・割戻の方法(計6個)

②期末評価(決算整理仕訳)における、商品評価損と棚卸減耗損の処理の仕方

③商品単価の求め方

④売上原価対立法

返品について

#仕入側

仕入れた商品を返品する場合は、仕入時の逆仕訳をします。

例:商品:10個(@100円)仕入れ、後日、3個返品した場合

(借)仕入 1,000円 (貸)買掛金 1,000円
→(後日)(借)買掛金 300円  (貸)仕入 300円

#販売側

販売した商品の返品を受ける場合は、販売時の逆仕訳をします。

例:商品:10個(@100円)を販売、後日、3個返品を受けた場合

(借)売掛金 1,000円 (貸)売上 1,000円
→(後日)(借)売上 300円  (貸)売掛金 300円

📌 ポイント:返品は、「逆仕訳」をするだけ

割引について

2025年6月時点、割引は簿記2級の範囲外(簿記1級の範囲)ですので、必要のない方は飛ばしてもらって大丈夫です。

#仕入側

支払い期日前に、早期支払いをすることで、割引を受けることができる。「仕入割引(収益)」勘定を使用。

例:商品:10個(@100円)掛けで仕入後、7日以内に支払えば、2%引を受けれる条件の場合

(借)買掛金 1,000円 (貸)当座預金 980円
(貸)仕入割引 20円

#販売側

支払い期日前に、早期支払いを受けることで、割引をする。「売上割引(費用)」勘定を使用。

例:商品:10個(@100円)掛けで販売後、7日以内に支払いを受ければ、2%引をする条件の場合

(借)当座預金 980円 (貸)売掛金 1,000円
(借)売上割引 20円

📌 ポイント:割引は、利息的性格を持つ→P/Lで営業外収益(仕入割引)・営業外費用(売上割引)に分類

割戻について

#仕入側

一括もしくは一定期間内に、大量購入する場合、割戻を受けることができる。

例:1週間以内に、100個以上(@100円)購入した場合、後日現金1,000円がキャッシュバックされる。

(借)仕入 10,000円 (貸)買掛金 10,000円
→(後日)(借)現金 1,000円  (貸)仕入 1,000円

#販売側

一括もしくは一定期間内に、大量購入を受けたら場合、割戻をする。「返金負債(負債)」の勘定項目を使用。

例:1週間以内に、100個以上(@100円)購入を受けた場合、後日現金1,000円をキャッシュバックする。

(借)売掛金 10,000円 (貸)売上 9,000円
(貸)返金負債 1,000円
→(後日) (借)返金負債 1,000円 (貸)現金 1,000円

📌 ポイント:割戻がある場合は、売掛金総額をそのまま売上に計上してはいけない(キャッシュバック分は、返金負債として計上)

期末の在庫評価処理について

#決算整理仕訳の方法

Step①:しぃくり・くりしぃの仕訳を行い、「仕入」勘定で、売上原価算定(3級の範囲)

Step②:実地棚卸で商品数が帳簿上より少ない場合は、「棚卸減耗損」を計上し、「繰越商品」を減らす

例:商品数が、100個あるはずが、棚卸で90個しかないことが判明。仕入単価(取得価額)は @100円 →棚卸減耗損は、1000円((100個-90個)×100円)

(借)棚卸減耗損 1,000円 (貸)繰越商品 1,000円

Step③:正味売却価額が、取得価額よりも低い場合は、「商品評価損」を計上し、「繰越商品」を減らす

例:商品数が、100個あるはずが、棚卸で90個しかないことが判明。また、仕入単価(取得価額)は@100円であったが、正味売却価額 は@90円→商品評価損は、900円(90個×(100円-90円)

(借)商品評価損 900円 (貸)繰越商品 900円

Step④:原価性があれば、「棚卸減耗損」及び「商品評価損」を、「仕入」に振り替える

・「売上原価の内訳をして表示」=原価性あり=「仕入」勘定への振替が必要=(原価性あり)P/L上表示科目へ分類(下図参照)

・「精算表上独立の科目として表示」=原価性なし=「仕入」勘定への振替は不要=(原価性なし)P/L上表示科目へ分類(下図参照)

・「商品評価損」は「売上原価」として原則処理する(問題文に記載がない場合は、原価性ありと判断=「仕入」へ振替をする)

(原価性あり)P/L表示科目 (原価性なし)P/L表示科目
棚卸減耗損 「売上原価」もしくは
「販売費及び一般管理費」
「営業外費用」もしくは
「特別損失」
商品評価損 原則「売上原価」 「特別損失」

補足①商品単価の求め方

以下の3つの方法があります。具体的な値を参考に考えると理解しやすいです。

内容 日付 数量 仕入単価
仕入① 4月1日 5個 100円
仕入② 4月10日 5個 140円
販売 4月15日 1個
仕入③ 4月20日 5個 180円

#先入先出法(3級の範囲)

先に仕入れた商品から、販売する方法です。この場合は、仕入①になるので、売上原価は100円になります。

#移動平均法(3級の範囲)

仕入の都度、平均値を算出する方法です。この場合は、仕入①と仕入②の平均値になるので、売上原価は120円になります。((100円×5個+140円×5個)÷10個=120円)

#総平均法

一定期間(通常1ヶ月)の平均値を算出する方法です。この場合は、仕入①と仕入②と仕入③の平均値になるので、売上原価は140円になります。((100円×5個+140円×5個+180円×5個)÷10個=140円)

補足②売上原価対立法

#特徴

・「商品」、「売上」、「売上原価」の3つの勘定科目を使用

・販売時に売上原価を同時記帳するため決算整理仕訳が不要だが、記帳のたびに仕入原価の確認が必要

#仕訳例

(借)売掛金 1,000円 (貸)売上 1,000円
(借)売上原価 500円 (貸)商品 500円

#分記法、三分法との比較まとめ

勘定科目 決算整理仕訳
分記法 「商品」「商品売買益」 不要
三分法 「仕入」「売上」「繰越商品」 必要
売上原価対立法 「商品」「売上」「売上原価」 不要
※「ふくしままさゆき」さんのYouTube解説動画は こちらからどうぞ(商品前半)。
※「ふくしままさゆき」さんのYouTube解説動画は こちらからどうぞ(商品後半)。

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