仕訳No.02 「B/SとP/Lの基本」

No.02 B/SとP/L 2級商業簿記

※初めての方は、こちらの記事から読んでいただけますと、幸いです。

簿記2級からは、実務でも使われる「財務諸表」の形式や考え方をより詳細に学ぶことになります。中でも「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」は、企業の経営状況を判断するために欠かせない重要な資料です。この記事では、簿記2級取得に必要な、それぞれの前提知識を簡単に説明します。(※使用教材の第2章「2級での大前提② B/SとP/Lの様式」を参考に作成しています。)

貸借対照表とは

#定義

貸借対照表(Balance Sheet)は、ある時点(決算日)で、企業がどれくらいの資産、負債、純資産があるかを示す財務諸表です。つまり、企業が「今、どれだけの資産を持っていて、どうやって調達したのか。」を示す、財産の一覧表(財務状況)になります。

#構造

主に以下の3つの区分から構成されており、資産=負債+純資産の計算式で表されます。

・資産(Assets)の部(流動資産、固定資産、繰延資産):現金、在庫、建物など「持っているもの」

・負債(Liabilities)の部(流動負債、固定負債):借金や支払い義務など「他人から借りているもの」

・純資産(Net Assets)の部:資産から負債を引いた「自分の持ち分」

#流動・固定の分類基準

貸借対照表における「流動(Current)」と「固定(Fixed)」の分類には、次の2つの判定基準があります。

 ①正常営業循環基準(Normal Operating Cycle Criterion):企業の本業のサイクル内で使用・回収されるものは「流動」(例:「売掛金」、「買掛金」、「現金」、「商品」など)

 

 ②一年基準(One-Year Rule):営業循環外であっても、期末から1年以内に回収・支払予定のものは「流動」   (例:1年以内に返済予定の「借入金」は流動負債)

 

実務上では、①・②のどちらかに該当すれば「流動」、どちらとも該当しなければ「固定」との認識で問題はない。(理論上では、①→②の順で、検討するのが正解)

#組替仕訳と表示科目

帳簿に記録されている勘定科目と、貸借対照表で表示される表示科目は必ずしも一致しないので、これを修正するために「組替仕訳」が行われます。

例:

 ・借入金 長期借入金/短期借入金

 ・売上 売上高

 ・現金・当座預金 現金及び預金

#流動性配列法

貸借対照表は、次の順番で並べるのが一般的です。

・資産:現金化しやすいものから上へ
・負債:返済期日の早いものから上へ 

このように並べる方法を「流動性配列法」と呼びます。

損益計算書とは

#定義

損益計算書(Profit and Loss Statement)は、企業の1年間(会計期間)の収益と費用、そして利益をまとめた財務諸表です。つまり、企業が「ある期間にどれだけ儲けたか or 損したか」を示す、経営の成績表(経営状況)になります。(※簿記2級では「報告式」という縦に読み進める形式で学習)

#構造

13の区分から構成されており、売上高- 売上原価= 売上総利益- 販売費及び一般管理費= 営業利益+ 営業外収益- 営業外費用= 経常利益+ 特別利益- 特別損失= 税引前当期純利益- 法人税等= 当期純利益で表されます。

① 売上高(Sales / Revenue)
内容:商品やサービスの販売による総収入
具体例:1個300円の商品を1,000個販売 → 売上高 = 300円 × 1,000個 = 30万円

② 売上原価(Cost of Goods Sold)
内容:売れた商品の仕入原価(在庫調整含む)
具体例:1個100円で仕入れた商品を1,000個売った → 売上原価 = 100円 × 1,000個 = 10万円

③ 売上総利益(Gross Profit)
計算式:売上高 - 売上原価
具体例:30万円 - 10万円 = 売上総利益 = 20万円

④ 販売費および一般管理費(Selling, General & Administrative Expenses)
内容:本業に関わる人件費・広告費・家賃など
具体例:給与:6万円、水道光熱費:1万円、広告費:2万円 → 合計:9万円

⑤ 営業利益(Operating Profit)
計算式:売上総利益 - 販売費および一般管理費
具体例:20万円 - 9万円 = 営業利益 = 11万円

⑥ 営業外収益(Non-operating Income)
内容:利息収入、受取配当金など本業以外の収益
具体例:定期預金の利息:5,000円、株式配当金:3,000円 → 営業外収益 = 8,000円

⑦ 営業外費用(Non-operating Expenses)
内容:支払利息、為替差損など本業以外の費用
具体例:銀行借入の利息:1万円 → 営業外費用 = 1万円

⑧ 経常利益(Ordinary Profit)
計算式:営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
具体例:11万円 + 8,000円 - 1万円 = 経常利益 = 10万8,000円

⑨ 特別利益(Extraordinary Gain)
内容:臨時的・非日常的な収益(例:固定資産売却益)
具体例:古い機械を売って3万円の利益 → 特別利益 = 3万円

⑩ 特別損失(Extraordinary Loss)
内容:臨時的・非日常的な損失(例:火災損失・リストラ費用)
具体例:台風による倉庫損壊で5万円の損失 → 特別損失 = 5万円

⑪ 税引前当期純利益(Profit Before Tax)
計算式:経常利益 + 特別利益 - 特別損失
具体例:10万8,000円 + 3万円 - 5万円 = 税引前当期純利益 = 8万8,000円

⑫ 法人税等(Corporate Income Taxes)
内容:法人税・住民税・事業税などの税金
具体例:税額合計:2万円 → 法人税等 = 2万円

⑬ 当期純利益(Net Profit)
計算式:税引前当期純利益 - 法人税等
具体例:8万8,000円 - 2万円 = 当期純利益 = 6万8,000円

※「ふくしままさゆき」さんのYouTube解説動画は こちらからどうぞ。

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