※初めての方は、こちらの記事から読んでいただけますと、幸いです。
この記事では、以下の3つの項目を復習・整理することを目標にしています。
①無形固定資産の定義と分類
②無形固定資産のうち、法律上の権利およびソフトウェアについての会計処理
③研究開発費の会計処理
それでは、よろしくお願いします。(※使用教材の第10章「無形固定資産」を参考に作成しています。)
無形固定資産
#無形固定資産とは
「形はないが、長期的に利用する資産」のことで、①法律上の権利(特許権、著作権、商標権など)、②のれん、③ソフトウェア、の3つに分類されます。また費用計上することを、有形固定資産では減価償却と呼ぶが、無形固定資産では単に「償却」と呼びます。
#法律上の権利について
特許権、著作権、商標権、実用新案権、電話加入権などの権利を指し、取得方法は、自社での出願・登録や他社からの購入があります。(出資/合併、裁判・贈与などでの取得もあり得るが2級では出題されない。)会計処理の方法は、取得費用を取得原価として費用計上し、耐用年数で償却していきます。2級の範囲では、「定額法・残存価額ゼロ・直接法」での出題のみです。
例:特許権を500,000円で取得し、5年間で償却する場合
・取得時
(借)特許権500,000円 | (貸)当座預金500,000円 |
・決算整理時
(借)特許権償却100,000円 | (貸)特許権100,000円 |
#のれんについて
他社と買収・合併したときに発生する「超過収益力」のことを指しています。超過収益力とは、ブランド力や商品競争力などの、財務諸表には表れない(数値では表れない)、他社よりも優れている点として評価されている部分のことです。つまり、のれんとは、その目に見えない価値を考慮して支払った、上乗せ部分のことを意味しています。(2級での具体的処理は範囲外ですが、概念の理解は抑えておく必要があります。)
#ソフトウェアについて
コンピュータを動作させるためのプログラムを意味しています。会計上では処理方法は3つに分類されますが、2級の範囲は、自社利用のソフトフェア(社内業務で使用するために開発・購入)の処理のみになります。将来の収益獲得もしくは費用削減が確実であると認められる場合は、資産計上し、将来にわたって償却します(「定額法・残存価額ゼロ・直接法」で処理)。償却期間は5年以内が原則で、5年超の場合は合理的な根拠が必要となります。
※ここでいう自社利用のソフトウェアとは、詳しくは、経理・販売・在庫管理など会社の業務を効率化するために導入されるソフトウェアを指し、自社の開発業務に使用する場合は、自社利用のソフトウェアとはなりません。
例1:(経費削減効果が認められる)ソフトウェアを500,000円で購入(償却期間:5年)
・取得時
(借)ソフトウェア500,000円 | (貸)当座預金500,000円 |
・決算整理時
(借)ソフトウェア償却100,000円 | (貸)ソフトウェア100,000円 |
例2:新しいソフトウェアを購入し、古いソフトウェアをアンインストールした(簿価:100,000円)
(借)ソフトウェア除却損100,000円 | (貸)ソフトウェア100,000円 |
※ここでいうアンインストールとは、アンインストールして”今後使用しない”と社内的にも決定しているということを意味しています。有形固定資産の場合での、廃棄のようなニュアンスです。また、廃棄とは物理的に処分する意味が強いため、無形固定資産の場合は「除却」を使用します。
補足①(ソフトウェア仮勘定)
ソフトウェア仮勘定は、外部のソフトウェア開発会社にソフトウェア製作を外注したときに用いる勘定科目です。
例:社内利用目的のソフトウェアの開発を外注した。開発費用は合計1,000,000円で、3回に渡って支払い(1回目:300,000円、2回目:300,000円、3回目:400,000円)、3回目の支払い時にソフトウェアの引き渡しを受けた
・1回目
(借)ソフトウェア仮勘定300,000円 | (貸)当座預金300,000円 |
・2回目
(借)ソフトウェア仮勘定300,000円 | (貸)当座預金300,000円 |
・3回目
(借)ソフトウェア1,000,000円 | (貸)ソフトウェア仮勘定700,000円 (貸)当座預金400,000円 |
※建物仮勘定の仕訳を考え方は同じです。
補足②(保守費)
ソフトウェアやシステムにトラブルがあった際に対応してもらうための費用です。
・例1:現在使用している保守費100,000円を当座預金から支払う
(借)保守費100,000円 | (貸)当座預金100,000円 |
・例2:(例1の続き)今後3年間分前払いした
(借)保守費(長期前払費用)300,000円 | (貸)当座預金300,000円 |
※前払費用として処理する場合もあれば、保守費にしておいて、期末に未経過分を前払費用に振り替える場合もあります。問題文の指示に従う。
研究開発費
#研究開発とは
研究開発とは、将来の新製品や新サービスの創出を目的とした調査・試作・技術開発などの活動を意味します。会計上の処理は、研究開発費の勘定科目を使用して、(将来的に収益を獲得できるかどうか不明なため)費用処理します。(P/L上は、販売費及び一般管理費)
#仕訳の具体例
例1:機械設備400,000円、消耗品100,000円を研究開発目的で購入した
(借)研究開発費500,000円 | (貸)当座預金500,000円 |
例2:研究開発部門の研究員に給料1,000,000円を支払った
(借)研究開発費1,000,000円 | (貸)当座預金1,000,000円 |
※自社利用のソフトウェアであっても、そのソフトウェアが自社の研究開発業務に使用される場合は、研究開発費として費用処理されるので注意が必要です。
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