※初めての方は、こちらの記事から読んでいただけますと、幸いです。
この記事では、以下の3つの項目を復習・整理することを目標にしています。
①リース契約の分類について
②オペレーティング・リース取引の(借主側)仕訳方法について
③ファイナンス・リース取引の(借主側)仕訳方法について
それでは、よろしくお願いします。(※使用教材の第8章「リース」を参考に作成しています。)
リース取引
#会計学上の「リース」とは
一般的にリースとは、コピー機や自動車などを長期的(3~10年)に賃貸借するイメージだと思いますが、会計学上でのリースとは、民法上の賃貸借全部(有料での物の貸し借り全部、例えば、レンタル・チャーター・不動産賃貸など)を含み、それらを「ファイナンス・リース」もしくは「オペレーティング・リース」のどちらかに分けて考えます。(賃貸借をこれらのどちらに分類するかの詳細は、1級の範囲)
#「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の分類について
※2級では、どちらに該当するか判定させることはなく、問題文に明示されるはず。
ノンキャンセラブルかつフルペイアウトの条件(下表)を満たせば「ファイナンス・リース」となり、これに該当しなかった残りの賃貸借全てが、「オペレーティング・リース」に該当します。実務上のリースとは通常、ファイナンス・リースを指し、予め所有している物を貸すというよりは、借主に代わりに購入(立替)をし、その代金を分割で回収することが一般的である。(実質的には、お金を貸していることになるので、ファイナンス・リースと呼ばれる。)
内容 | |
---|---|
ノンキャンセラブル | 中途解約不能(中途解約すると、残りのリース料を全額支払う条件など、事実上解約できないケースも含む) |
フルペイアウト | リース物件を使用することにより得られる便益(経済的利益)の享受と、維持費などのリスク負担を、借主が担うこと。(リース料≒購入金額+維持費+利息) |
#オペレーティング・リースの仕訳
※2級では、借主側の仕訳のみ(貸主側は1級の範囲)
オペレーティング・リースは、実社会では一時的に借りただけの賃貸借(自動車レンタルなど)が馴染みがあり、ピンとくる方が多いと思います。この場合、会計上では、経費処理=費用処理を行います。このように、費用処理することを、会計上では「賃貸借処理」と呼びます。
〇例1:資材運搬用に、レンタカー会社からトラックを1日借りて、レンタル料を10,000円を現金で支払った場合
(借)支払リース料10,000円 | (貸)現金10,000円 |
オペレーティング・リースは、短期間だけではなく、3-5年など比較的長期間の場合もあります。
〇例2:25年4月1日に、リース会社と自動車のリース契約(リース期間3年、年間リース料120,000円、リース料の支払いは毎年3月31日、オペレーティング・リースに該当)の場合
・4月1日の仕訳:仕訳なし
・毎年3月31日の仕訳(当座預金支払い):
(借)支払リース料120,000円 | (貸)当座預金120,000円 |
〇例3:25年5月1日に、リース会社と自動車のリース契約(リース期間3年、年間リース料120,000円、リース料の支払いは毎年4月30日、オペレーティング・リースに該当)の場合(費用の見越し)
・25年5月1日の仕訳:仕訳なし
・26年3月31日の仕訳:
(借)支払リース料110,000円 | (貸)未払リース料110,000円 |
・26年4月1日の仕訳(再振替仕訳):
(借)未払リース料110,000円 | (貸)支払リース料110,000円 |
・26年4月30日の仕訳:
(借)支払リース料120,000円 | (貸)未払リース料120,000円 |
※以降毎年同様
#ファイナンス・リースの仕訳
※2級では、借主側の仕訳のみ(貸主側は1級の範囲)
ファイナンス・リースで借りた物は、借金をして購入したも同然であるため、固定資産に計上し、減価償却で費用計上していく必要があります。このようにリース契約で借りた物を、借主が資産計上する処理を、会計上では「売買処理」と呼びます。民法上は、所有ではなく賃借であるが、会計上では、経済的実態に着目して(所有と判断し)仕訳をします。
2級で学習するファイナンス・リースの仕訳方法は、「利子抜き法」と「利子込み法」の2種類の簡便法を学びます。勘定科目は「リース資産」と「リース債務」を使用し、実行時に計上します。また、どちらの場合でも、減価償却は「耐用年数をリース期間とし、残存価額を0」とする「リース期間定額法」で償却する方法が一般的です。
仕訳を見れば分かることですが、利子抜き法と利子込み法の違いは、計上される費用が「支払利息と減価償却費」もしくは「減価償却費」になるかで、費用の総額は同じです。しかし、会計上は「利子抜き法」の方が実務的により正確である(支払利息と減価償却費に分ける)ため、基本となります。
①利子抜き法
例:資材運搬用に、4,500,000円のトラックを毎年1,000,000円のリース料で5年のファイナンス・リース契約をした場合(利息は合計500,000円で、年間100,000円となる。)
・リース実行時
(借)リース資産4,500,000円 | (貸)リース債務4,500,000円 |
・リース料支払い時
(借)リース債務900,000円 (借)支払利息100,000円 |
(貸)当座預金1,000,000円 |
・決算日
(借)減価償却費900,000円 | (貸)リース資産減価償却累計額900,000円 |
②利子込み法
例:資材運搬用に、4,500,000円のトラックを毎年1,000,000円のリース料で5年のファイナンス・リース契約をした場合(利息は合計500,000円で、利息も資産・債務に含める。)
・リース実行時
(借)リース資産5,000,000円 | (貸)リース債務5,000,000円 |
・リース料支払い時
(借)リース債務1,000,000円 | (貸)当座預金1,000,000円 |
・決算日
(借)減価償却費1,000,000円 | (貸)リース資産減価償却累計額1,000,000円 |
③発展論点(簿記1級などを目指す方)
利子抜き法や利子込み法などの簡便法を使用できるのは、諸条件が整った場合のみです。条件は、①中小企業である、②所有権移転外ファイナンス・リース取引である、③リース契約の重要性が高い(リース料が300万円超など)、④原則法を用いるほど厳密な会計が求められていないor実務負担が大きすぎる、があります。(下表参照)

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